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中国共産党「610弁公室」の組織構成についての分析(一)


文/林展翔 舒真

(明慧日本)米国会は2010年3月16日、賛成412票、反対1票で605号決議案を可決した。決議は、中国政権に対して「法輪功修煉者に対する迫害・威嚇・監禁・拷問の活動を即座に停止し、法輪功撲滅を委託され法廷権限外に置かれた機密機関610弁公室を即座に廃止すること」を中国政府に呼びかけた。そして、法輪功修煉者の迫害事件に関心を寄せるよう米国大統領と国会議員に呼びかけた。同決議案を作成したイリアナ・ロス・レーティネン下院議員(フロリダ州・共和党) は、「臓器狩りを目的に、中国共産党は組織的に法輪功修煉者を殺害している。これは人類の想像を絶するほどの残忍さだ」と語った。

 では、決議案で廃止を呼びかけた「610弁公室」とはどんな組織であろうか。それは、中共(中国共産党)内部の一つの秘密機関で、憲法をも凌駕し、中共が法輪功に迫害を加える最高の権力機関と最も有能な道具で、法輪功迫害の全ての行為を総括する組織である。

 「610弁公室」は、中共の最高中央から末端組織(都市部の住民委員会と農村部の村)まで、各層の中共政権が計画的に組織的に法輪功に迫害を加える総指揮部で、法輪功に対する全ての迫害行為を主導的に考案して実施している。

 「610弁公室」は立法と司法機関を凌駕し、数年来、継続的に発展して拡大し、当初の臨時機関から常設機関に変わった。また世間の目をくらますために、その職務内容は単一の法輪功迫害から様々な内容に発展した。名目上では各層政府に運営され、実質上では各層党委員会の指揮の下に置かれている。対外的に、上層政権は極力「610弁公室」の存在を回避する一方、末端政権は赤裸々にその存在を少しも隠さない。

表1:「610弁公室」の組織図と迫害の流れ

 表1の説明:「610弁公室」は中共内部の秘密機関で、中央「610弁公室」は対外的に「国務院邪教防止対処弁公室」を称し、地方の「610弁公室」は「邪教防止対処弁公室」、若しくは「国家平穏維持弁公室」と称する。そのほか、国家安全局、公安局、大学、一部の中小学校、政府機関と大手国営企業の中にもそれぞれ「610弁公室」が設立された。「610弁公室」のスパイは外交、インターネット、外資企業、旅行、貿易などの分野でさまざまな陰険な活動を行っている。

 一、中央「610弁公室」の由来

 1999年6月7日、江沢民は政治局会議に「法輪功問題の即急対処に関する講話」を発表して、当時の政治局常務委員会の李嵐清委員をリーダーに、政治局の羅幹委員と丁関根委員を副リーダーに任命し、「中共中央法輪功問題対処本部」を設立し、一日も早く法輪功を「取り締まる」よう指示した。

 3日後の1999年6月10日、「中共中央法輪功問題対処本部」が正式に設立され、李嵐清がリーダー、羅幹と丁関根が副リーダーに任命され、最高裁判所、最高検察院、公安部、国家安全部、中央宣伝部、外交部などを含む政府各省庁もメンバーに編入された。「対処本部」の指令の執行機関として、「中央法輪功問題対処本部事務局」が設けられ、「中央610弁公室」と略称した。

 中央から地方の各層党委員会まで、すべてに「法輪功問題対処本部」が設立され、その下に事務局が常置され、設立期日の6月10日にちなんで事務局は「610弁公室」と呼ばれた(例外もある。例えば、黒龍江省に設立されたのは「615弁公室」と呼ばれる)。大半の「610弁公室」は党委員会の下の政治・法律委員会に属し、一部は党委員会に属し、つまり中国共産党の党務部門の一つにあたる。

 現在までのところ、中央以下の各層政府、つまり省、市、区、郷(住民委員会)の「対処本部」がいつ設立されたかについて、公に発表した政府公文には見当たらない。一方、県、区及びその以下の政府の「対処本部事務局」の設立と職務内容について、よく政府公文に記載されている。各層の「法輪功問題対処本部事務局」はみな「中央610弁公室」の呼び方に沿って、「◯◯省(若しくは市、県、区、郷、住民委員会)610弁公室」と略称する。

 組織設置においても、政府公文においても、党中央と国務院は「610弁公室」の存在を公に認めたことがない。しかし、中国のメディア報道や地方政府のオフィシャル・ホームページからも、この組織が存在している痕跡がよく見られる。

 2010年6月24日

(中国語:http://www.minghui.org/mh/articles/2010/6/13/225361.html

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