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香港:神韻団員ビザ不交付案件、原告側に勝訴判決

(明慧日本)2010年に香港入国管理局が米国神韻芸術団の技術スタッフ6人に対し、入国ビザの発給を拒否したことに対する訴訟について、2011年3月9日、香港高等裁判所は入国管理局のビザ不交付は違法であり、決定を取りやめるべきとの判決を下した。

2011年3月9日、高等裁判所の外で、勝訴の判決書を手にする神韻香港主催者のスポークスマン

2011年1月24日、神韻ビザ不交付案件の審理開廷日。主催者側は香港高等裁判所の外に集会を行い、神韻芸術団の来港への支持を呼びかけた

 勝訴の情報は香港、台湾および中国国内に伝わり、多くの人々がこの香港高裁の決定に対し祝意を述べた。神韻香港主催者は香港政府に対し、昨年の過ちを改めて今年は神韻芸術団の香港訪問を認め、香港市民が世界有数の水準を誇る神韻公演を鑑賞できるように呼びかけた。
 
 個々の団員は芸術団の一部として平等に尊重されるべき
 
 41ページに及ぶ判決文において張挙能裁判長は、以下のように指摘した。「入国管理局は下記の二点を慎重に考慮すべきである。『一、香港社会における文化と芸術の交流活動の意義について』『二、本案件におけるビザ申請は、一般の香港就労ビザの申請とは異なる。6人の団員は就労のためではなく公演のために香港を訪れた上、滞在期間は短期である』これらの事由により、個々の団員のビザ申請は神韻芸術団全体の申請として一律に認められるべきである(判決書49段目)」
 
 団員のビザ申請に対して張裁判長は、神韻公演の「全体性(integral)」を考慮に入れなければならないと、判決文で繰り返し指摘した。「ビザを申請した技術スタッフ6人が神韻公演が行われる中で、ダンサーなどと同じく欠くことのできない役割を担っているかどうか考慮されるべきであり、神韻芸術団自身の判断を尊重すべき(第62段)」という。また、張裁判長は「神韻芸術団が入国管理局に対し、この6人の団員の公演における重要性を説明したにもかかわらず、入国管理局がそれを認めなかったことは合理性を欠いている」と述べた。
 
 入国管理局は問題の焦点をずらしている
 
 また、張裁判長は「舞台に上がるダンサーと同じく、舞台の製作に携わる団員も公演を形成する一部分であり、彼らもまた公演前に、ダンサーらと共に稽古をしなければならない。このことも入国管理局は考慮するべきだ」と、以下のように判決文で指摘した。「しかし、入国管理局は違うところに焦点を当てた(the Director had focused on the wrong question )」(第69段)、「注目すべき焦点が深刻にずれた(serious focusing problem)」(第70段)。
 
 さらに、張裁判長は「入国管理局が個々の団員に対し、特殊な技能、知識、経験を備えているか、現地の一般労働者にできない特殊性を持つ仕事をする能力があるか、という視点から審査を行い、一部の団員にビザの交付を拒否したことは、明らかに『焦点がずれている』。このような杓子定規な規定よりも『全体性』と『文化と芸術の交流の意義』を入国管理局は考慮すべきだ」と裁判官は指摘した。
 
 以上の理由を踏まえて、入国管理局の決定は不適切であるとし、決定を取り消す旨の判決が下された。
 
 行政の決定は司法の監督を受けるべき
 
 判決の法律根拠部分において張裁判長は、まず公法の原則(第36段以下)を述べて、「入国管理局は相当大きい裁量権を持つが、その決定は司法の監督を受けなければならない」と述べた。さらに、入国管理局局長が決定を下しと方針を定める過程において、公法の原則に基づき、監督を受けるべきで、局長は不合理で、独断的な決定を行うことは認められず、決定の過程は公平でなければならない(第38および39段)」と指摘した。
 
 神韻香港主催者は、香港政府に過ちを改めるようと期待
 
 神韻香港主催者は高等裁判所の判決に安堵の声をもらした。神韻スポークスマン・簡鴻章さんは「香港高裁は妨害に屈せずに正しい判決を出したことを賞賛する」と述べ、また「今回の事件の教訓を活かし、過ちを改めて、今後は中共(中国共産党)の圧力に左右されず、神韻芸術団の香港公演が行えるよう香港政府の助力を期待する」と述べた。
 
 中共の指示のもと行われる入国管理局の専横
 
 ここ数年来、香港入国管理局は中共の圧力のもと、中共にとって好ましくない人物に対して、入国ビザの不交付、合法的に入国した人への強制送還などを行い、国際社会から批判の声を浴びている。
 
 数回にわたり、香港への入国申請を拒否された台湾法輪功人権弁護士団のスポークスマン・朱婉キさんは、「1997年以降、香港入国管理局は香港市民の代弁者でなくなり、司法の場において『一国二制度』の境界を越え、中共の統制を受けている。彼らはこの事実を認めず、中共の思惑を代弁し、名実ともに中共の人権侵害の共犯者となった。今まで、香港の司法機関は入国管理局が持つ『入国審査』などの行政権に抵触することがあまりなかったため、香港入国管理局は独断的な基準で入国許可を拒否したり、合法的に入国した人を強制送還したりするなど、ここ10年あまり、数多く不公正な決定をし続けてきた。もちろん、このすべては背後で中共が支持している」と指摘した。
 
 良心に基づき判決を下した高裁に称賛
 
 また、朱弁護士は「神韻団員6人のビザ不交付の決定に対し、取り消しの判決を下した高等裁判所は、良心に基づいて司法の尊厳を守る判決をした。41ページに及ぶ判決文から、裁判官が不合理で独断的な入国管理局の行政決定に対して、いかに公平な判断を下したかが分かる。中共の圧力を受ける不正常な環境の中、法廷がこのような賢明な判決を下したことは、称賛に価する」と述べた。
 
 また、神韻香港主催者は、今回のビザ不交付案件によりもたらされた経済的損失に対する賠償を香港政府に求めることを検討しているという。
 
 事件の背景
 
 香港法輪佛学会、大紀元時報、新唐人テレビ局が共催する神韻公演は、2010年1月27日から1月31日の間、香港演芸学院で上演される予定だったが、香港政府は中国共産党の圧力に屈し、公演間近に主要な技術スタッフ6人に対し、入国の条件を満たしていないとして入国ビザの発行を拒み、公演は中止に追い込まれた。
 
 2010年4月20日、香港入国管理局によるビザ不交付の決定は違法であり、彼らの責任を問い、弁償を求めることを目的として、神韻香港主催者は香港高等裁判所に告訴した。2011年1月24、1月25日に高等裁判所は開廷し、3月9日に判決を出した。(案件番号:HCAL 43/2010)
 
2011年03月19日


(English:http://www.clearwisdom.net/html/articles/2011/3/11/123732.html
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